所長メッセージ

ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 寺本章伸

 本研究所は1986年に設置された「集積化システム研究センター」を基に1996年に「ナノデバイス・システム研究センター」を経て、2008年5月1日に「ナノデバイス・バイオ融合科学研究所」として設立されました(2022年4月に「ナノデバイス研究所」、2024年4月に「半導体産業技術研究所」に改称)。設立当初から進めている半導体・ナノテクノロジーの基盤強化を行うとともに、異分野融合による医療やエネルギー分野のイノベーション創出と新学術領域を創成することを目的として研究を進めております。その実現のために、次に掲げる二つのプロジェクトを推進しています。

1.文部科学省先端研究施設共用イノベーション創出事業 ナノテクノロジープラットフォーム 微細加工プラットフォーム
 本研究所の特徴である総面積830m2のスーパークリーンルームを外部機関に開放するとともに技術支援や共同研究を全国規模で推進しています。これにより、イノベーション創出に向けた強固な研究基盤(プラットフォーム)形成に貢献し、幅広い利用者による設備の共同利用促進と産学官連携や異分野融合を推進しています。2021年度から、本事業で整備された基盤を活用して「マテリアル先端リサーチインフラ」のプラットフォーム整備事業が新たに始まりました。本研究所は、革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル領域を担う機関の一つとして採択されました。引き続き、ナノデバイス試作支援を行うとともに、SiCやGaNなどのワイドバンドギャップ半導体、⾼性能太陽電池など、エネルギー変換マテリアル・デバイスにフォーカスした研究開発・支援を行います。さらに、この事業のもう一つの目標でもある高品質なマテリアルデータを戦略的に収集・蓄積・流通・利活用できる仕組みの構築を推進していきます。

2.ネットワーク型共同利用・共同研究拠点「生体医歯工学共同研究拠点」
 東京医科歯科大学生体材料工学研究所、東京工業大学未来産業技術研究所、静岡大学電子工学研究所との連携研究機関の機能融合により、生体医歯工分野の先進的共同研究を推進し、我が国の生体材料、医療用デバイス、医療システムなどの実用化を促進する拠点形成を目的として活動しています。2021年度は拠点事業の最終年度となりますが、生体医歯工学を推進する共同拠点形成という段階を確実なものとし、 本拠点事業を継続発展させ、4拠点が協力して多くの成果が出せる拠点ネットワークを2022年度から新たにスタートさせたいと考えております。

 大学を取り巻く状況は厳しさを増しており、大学の機能強化へ向けて当研究所にも更に大きな貢献が求められています。設置時限終了を控えた昨年度、自己評価を実施しそれを基に外部評価を行って頂きました。外部評価委員の先生方には大変貴重なご意見を頂きました。その中で、半導体を中心とする電子デバイス分野と医療を中心とするバイオ分野という異種分野融合の重要さと難しさが大きな課題として取り上げられています。研究所設置以来、諸先輩も含めてこの課題に取り組み、上記、「生体医歯工学共同研究拠点」形成を始め、その上で医歯工連携の研究成果も出ています。今後も「ナノデバイス」と「バイオ」が真に融合した研究分野の創出を目指し、研究体制を整えていきたいと考えています。構成員ひとりひとりの個性を伸ばし、さらにベクトルを合わせていくことで、研究所のアクティビティを高めていきたいと考えています。関係の皆様には引き続きご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

広島大学ナノデバイス研究所
所長 寺本章伸

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